スマッシュについて、今の時点での僕の考えをまとめておきます。
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スマッシュのコツ・注意点
ラケットの握り方
サーブと同様、コンチネンタル〜イースタングリップでラケットを握ります。
理由は2つです。
①頭の後ろでも打ちやすいから
コンチネンタルグリップの場合、頭の後ろで打つ時でもラケット面を下の方に向けやすくなります(これも実際にやってみたらわかると思います)。
ウエスタングリップの握り方で頭の後ろにあるボールを打とうとすると、ラケット面がどうしても上を向いてしまいます(ぜひ実際にやってみてください)。つまり、ギリギリ取れるかどうかのボールをウエスタングリップでスマッシュしようとすると、アウトしやすくなってしまうということです。
②ラケットのスイングスピード(ヘッドスピード)を上げやすいから
体の横で横に振るフォアハンドストロークの場合、頭から腰へ垂直に設定した軸を使って体を回転させることが、ラケットのスイングスピードにそのまま寄与しますが、
スマッシュの場合、頭から腰へ垂直に設定した軸を使って体を回転させることが、ラケットのスイングスピードにそのまま寄与するわけではありません(だってスマッシュは頭の上からラケットを縦に振るから)。
https://www.youtube.com/watch?v=wTN_nNCC0KE&t=10s
Roger Federer Overhead Smash | Court Level View
そこでスマッシュの場合は、スイングスピードを上げるためにストロークの時とは違う要素を考える必要があります。で、それが内旋・回内の動きです。内旋・回内の動きを最大限に使うことによって、ラケットのスイングスピードを上げることができます。
そして、内旋・回内の動きを最大限に使おうと思ったら、コンチネンタルグリップで握ることが必要になります(文章化するのが難しいのですが…実際にラケットを持って試してもらえれば、ウエスタングリップの場合は特に回内の動きが使いにくいことがわかってもらえるはずです)。
後ろ足のつま先の向き
スマッシュの際の後ろ足のつま先の向きは、横向き~やや後ろ向きに設定します。
初心者がスマッシュする時に多いのが、後ろ足のつま先が前(ネット方向)を向いてしまう構えです。後ろ足のつま先が前を向いてしまうと、体が正面を向くことになってしまって、下半身の動きを使いにくくなってしまいます(→腕の力だけでスピードを出そうとしてしまって、上半身の力みにつながる)。
特に、前に詰めるスマッシュの時につま先が前を向きやすい(体が開きやすい)ので要注意です。
左手を上げるタイミング
スマッシュ指導の時に「左手を上げて、左手をアンテナのようにして下がるんだよ」っていうの、よく聞きますよね。でも、あれって間違っているんじゃない?って思っています。
スマッシュを2つの動作に分けて考えます。
①打点までの移動
②スイング
多くの選手がつまずくのが、「①打点までの移動」だと思います。打点までスムーズに到達できず、空振りをしたり力が入らない形でスイングしたりしてしまう。
なんでこうなるのかな?って考えてみたんですが、もしかすると①と②の動作をごちゃ混ぜにしているからかもしれません。
先に「②スイング」を考えてみます。スマッシュのスイングは、右利きの場合
(1)左肩が上、右肩が下の状態(よく「左手でボールをつかむように」っていうアドバイスがされます)
→(2)体が回転し、左肩と右肩が入れ替わる
→(3)左肩が下、右肩が上の状態でインパクト
という流れで行われます。
次に「①打点までの移動」を考えてみます。
スマッシュのフットワークでは、「体を横に向けて(半身になって)クロスステップ・サイドステップで下がる」という指導がよく行われますよね。これは正しいと思います。
半身になってクロスステップ・サイドステップをした方が、体が正面を向いた状態で下がるよりも1歩1歩の大きさが大きくなって、移動が速くなるからです(しかも、体が正面を向いているとスイング時に肩~腕の力だけでスイングすることになるが、半身になると上半身の回転が使えるようになるので、スイング動作の点から考えても合理的)。
ただ、スマッシュが苦手な人(初心者)は、この2つの動作をごちゃ混ぜにしてしまっていると思っています。
どういうことかというと、スイング動作の初期段階である「(1)左肩が上、右肩が下の状態」のまま、半身になってフットワークをしているっていうことです。
よく、「左手を上げて、左手をアンテナのようにして下がるんだよ」っていう指導が行われるし、僕もそういう指導を受けたし、僕もそういう指導をしていたんですけど、、、
「(1)左肩が上、右肩が下の状態」で後ろに下がろうとすると、下がるスピードが遅くなりませんか?
体の軸が後ろに傾くので、「倒れないように」右足で必要以上にブレーキをかけてしまうことにつながり、結果的に下がるスピードが遅くなってしまうのでは?って思ったんです(後ろ足である右足でブレーキをかけないと、後ろ方向にかかるエネルギーによって体が倒れて転びそうになる)。
ぜひこの動画を見てください。
爆音!広岡宙選手のスマッシュがめちゃくちゃ速い!!【ソフトテニス】
「①打点までの移動」では、むしろ「左肩が下、右肩が上」になっています。で、打点まで移動してはじめて、「(1)左肩が上、右肩が下の状態」を作っています。
①打点までの移動
②スイング
をはっきりと区別しているわけです。だからトップレベルの選手はスマッシュがうまいのではないでしょうか?
少なくとも、トップレベルの前衛で「(1)左肩が上、右肩が下の状態」のまま後ろに下がっている選手を僕はほとんど見たことがありません。左手を上げて「アンテナを作って」下がっているのは、初心者~中級者レベルの選手がほとんどです。
もしかすると「左手をアンテナのように使うことでボールとの距離感がわかる」っていう「初心者用の指導」が選手の上達を阻害しているのかもしれません。
体を倒す
これは昨年、守山ジュニアを見学させていただいた時に学んだ観点です。
スマッシュのインパクトの際は、頭を左にどけて(体を傾けて)、ラケットから左足までをまっすぐにします。
頭を左にどけることによって、縦のスイングをスムーズにできるようになるからです(頭を左にどけないと、縦のスイング動作が窮屈になる)。
【ソフトテニス指導】初心者向けのスマッシュ練習(ラケット面の出し方など)(守山ジュニア)
振り遅れる人あるある
①左手が上がる
②右手を振りかぶる
③スイングする
という3つの動作において、①と②が同時ではなくバラバラに行われてしまう…というのが「スマッシュで振り遅れる人あるある」だと思っています。
スマッシュがうまい人は、
①左手が上がる
②右手を振りかぶる
をほぼ同時に完成させています。①→②→③という3テンポでスマッシュ動作をするのではなく、①+②→③という2テンポでスマッシュ動作をするので、スマッシュ始動までの時間が短くなって、振り遅れにくくなるわけです。
ぜひ以下の動画を見てみてください。
【ソフトテニス】セカンドサーブの時の鉄壁ディフェンス(柴田選手のバックのアタック止めからのスマッシュ)【2019茨城国体】
爆裂!鈴木選手のスマッシュが迫力満点で豪快すぎた【ソフトテニス】
スマッシュの練習方法
ここからは初心者向けのスマッシュの練習方法をいくつか紹介します!
手出しスマッシュ
【やり方】
サービスラインから球出しをします。
※真上に球出しをするのではなく、練習者がいる方向に高く球出しをします(真下に垂直落下するボールをスマッシュすることはほとんどないので)。
練習者は、球出しされたボールをストレートにスマッシュ。
※的を置いておくのがおすすめ。
空振りが多い場合は、打点(タイミング)をつかむために「当てるだけ」でもOKだと思います。初心者がやるバドミントンや羽子板のイメージで、ポーンと当ててボールを上方向に飛ばします。これを何回か繰り返すと打点(タイミング)がつかめるようになります。
また、体を倒す(頭を左にどけて、ラケットから左足までをまっすぐにする)感覚をつかむために、左足1本で立ってラケットを上に構えた状態から練習をしても良いと思います。
前後スマッシュ
【やり方】
サービスラインより少し後ろにバウンドするような高いボールを出します。そのボールを、前衛が下がってスマッシュ。
前衛がスマッシュをしたらすぐにサービスボックスの中間くらいにバウンドするような高いボールを出します。そのボールを、前衛が前に詰めてスマッシュ。
前衛がスマッシュをしたらすぐにサービスラインより少し後ろにバウンドするような高いボールを出して…っていうのを繰り返します。合計10球。
【注意点】
①球出しのテンポを早くする
球出しの人は、前衛がスマッシュを打ったらすぐに球出しをします(←スマッシュのインパクトと同時に球出しをすると良いです)。
前衛がスマッシュを打って、「さてと…」って感じでのんびり球出しをすると練習効率が落ちますし、モタモタして練習がダレますし、前衛の足が動かなくなっていくからです。
3本スマッシュ
練習の目的は、「ネットからの遠さによってスマッシュの打ち方を変える感覚を身につける」です。
やり方はこんな感じ。
球出しは2箇所で、サービスラインから。
スマッシュボールを3球あげるんですけど、だんだん大きく(小さく)あげていきます。
(1)後ろに下がるスマッシュ
練習する前衛はネットについた状態からスタート。
前衛が1〜2歩下がってスマッシュできるくらいの深さに、球出しの人がスマッシュボールを出します。
そのボールを前衛がスマッシュします。
前衛がスマッシュを打ったらすぐに、今度はサービスラインの少し後ろくらいの深さに、球出しの人がスマッシュボールを出します。
そのボールを前衛がスマッシュします。
前衛がスマッシュを打ったらすぐに、最後はベースラインくらいの深さに、球出しの人がスマッシュボールを出します。
そのボールを前衛がスマッシュします。
スマッシュのコースはストレートです。(クロスを狙うと球出しの人に当たってしまうかもしれないので)
(2)前に上がるスマッシュ
練習する前衛はコートのフェンスからスタート。
前衛がベースラインくらいの場所でスマッシュできるくらいの深さに、球出しの人がスマッシュボールを出します。
そのボールを前衛がスマッシュします。
前衛がスマッシュを打ったらすぐに、今度はサービスラインの少し後ろくらいの深さに、球出しの人がスマッシュボールを出します。
そのボールを前衛がスマッシュします。
前衛がスマッシュを打ったらすぐに、最後はサービスボックスの中くらいの深さに、球出しの人がスマッシュボールを出します。
そのボールを前衛がスマッシュします。
スマッシュのコースはストレートです。(クロスを狙うと球出しの人に当たってしまうかもしれないので)
注意点についてです。
①球出しについて
球出しの人は、前衛がスマッシュを打ったらすぐに球出しをします。
前衛がスマッシュを打って、「さてと…」って感じでのんびり球出しをすると練習効率が落ちますし、モタモタして練習がダレますし、前衛の足が動かなくなっていきます。
なので、球出しのテンポはすごく大事です。(スマッシュのインパクトと同時に球出しをすると良いかも)
この時に、低いボールで球出しをするとさすがに前衛が対応できないので、なるべく山なりに高く球出しをするのがポイントです。
あと、横にボールがズレるとスマッシュしづらくなるので(まあそういうボールもスマッシュできないといけないんだけど、最初は難しいので)、球出しはまっすぐボールをあげるようにします。
かなり球出し自体がむずかしい練習なので、中級者以上じゃないとキツイ練習です。
②スマッシュの打ち方
この練習の目的は、「ネットからの遠さによってスマッシュの打ち方を変える感覚を身につける」でした。
3本スマッシュの中で、だんだんネットからの距離が変わっていきますので、スマッシュの打ち方も変わっていきます。
ポイントは、ネットから遠いところからのスマッシュの打ち方です。
ベースライン付近からスマッシュをする場合、叩きつけるようにスマッシュをすると当然ネットにかかってしまいます。
なので、そうならないようにスマッシュしたボールがネットの高いところを通るように(相手コートの深いところにバウンドするように)打ちます。
この感覚がむずかしいんですけど、この感覚をつかめると、ネットからかなり離れたところからでもスマッシュを打てるようになって、「強い前衛」になれます。
「別に試合でベースライン付近からスマッシュを打たないんだけど」っていう人でも、この3本スマッシュの練習はわりと効果があります。
スマッシュのボールの軌道の感覚が身につくので、ネットしにくくなるんですよね。
あと、スマッシュの打点に入る感覚も身につくので、いろんなボールに対応できるようになっていきます。
ただ、もう一度言いますが、中級者以上向けの練習なので要注意。
あんまりうまくないチームでこの練習をやると、球出しもグチャグチャだし前衛はスマッシュが全然できないし…ってなって、かなり残念な感じになりますw
中級者以上なら、最初から形にするのはむずかしいかもしれませんが、10分くらい粘るとそれなりに形になるはずです!
僕自身、「この練習のおかげでスマッシュの感覚が身についた!」って思っています。
ってことで、おすすめです!
スマッシュについての動画
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