//もちおのソフトテニスノート
//2021年4月4日(日) 第445号
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素振りについて考えたことを書きます。
素振りについて
正直に白状すると、僕は選手だった時も教員だった時もあまり素振りを重視していませんでした。「ソフトテニスはボールを打ってナンボでしょ!」っていう感覚で、「素振りよりも実際にボールを打とう!」と思っていたし、そういう考えで練習メニューを組んでいたんです。
でも、よくよく考えてみると、同じ「道具でボールを打ち返す」スポーツである野球では、素振りがかなり重視されています。
「野球は素振りを重視しているんだから、ソフトテニスでも重視するべき」っていうようなロジック(「あの人はこうやってるんだから、こうやるべきなんだよ」みたいな考え)はあまり好きじゃないので、素振りがなぜ重要なのか?を考えました。
その結果、ソフトテニスにおいても、素振りは重要な練習だと思うようになりました。
というのも、素振りは
- ラケットのスイングスピードを上げる(→エネルギーを大きくする)
- スイング軌道を安定させる(→エネルギーの伝達ロスを少なくする)
ことに意識を集中することができる練習だからです。
ソフトテニスは、ラケットを使ってボールを飛ばすスポーツです。ボールを飛ばすためにはエネルギーが必要なわけですが、そのエネルギーはラケットのスイングによって生まれます。
物理の式で言うと、ボールに伝わるエネルギーは
1/2 × (ラケットの重量) × (ラケットの速度)の二乗
になります。
ラケットの重量はスイング時に変化しないので、ボールに伝わるエネルギーを増やすには(=ボールを遠くに飛ばすには)、ラケットのスイングスピードを上げることが重要だということになります。加速したラケットが持つエネルギーをボールに伝えることで、ボールは飛んでいくのです。
ただ、エネルギーの伝達ロスが生じることも考えなければいけません。
例えば、しなるラケットの場合、しなることでエネルギーが失われるので、当然、ボールに伝わるエネルギーも少なくなります(だからトップレベルの選手は、エネルギーロスが少ない「硬いラケット」を使っているのだと思います)。
また、ラケット面の中心(スイートスポット)から外れたところでボールを打つと、エネルギーロスが生まれます。
さらに、スイング時にラケットがブレてしまったり、かすれたヒットになってしまったりすると、エネルギーロスが生まれます。
このように、エネルギーの伝達ロスはあらゆるところで起こります。このエネルギーロスを少なくすればするほど、加速したラケットが持つエネルギーを効率的にボールに伝えることができて、ボールは飛びやすくなる、っていうことになります。
つまり、ラケットを使ってボールを飛ばすスポーツであるソフトテニスにおいては、
- ラケットのスイングスピードを上げて、エネルギーを大きくする
- スイング軌道を安定させて、エネルギーの伝達ロスを少なくする
ことが、力強いボールを打つうえで重要だということです。
ただ、これらをテニスコートでラリーしながら意識するのは結構難しいと思います。初心者であればなおさら、です。
そこで、素振りをするわけです。ボールを使わない素振りだからこそ、
- ラケットのスイングスピードを上げる(→エネルギーを大きくする)
- スイング軌道を安定させる(→エネルギーの伝達ロスを少なくする)
ことに意識を集中することができますよね。
☆☆☆
ラケットのスイングスピードについてはわかりやすいですが、スイング軌道に関してはなにをもって安定したと言えるのか?が難しいところです。そこで、もう少し深掘りして考えてみます。
ソフトテニスは、「空間の中にあるボールに、ラケットのガットを当てる」動作で成り立っています。「空間の中にあるボールに、ラケットのガットを当てる」動作を、以下の4つの要素に分解して考えると、なにをもってスイング軌道が安定したと言えるのか?が見えてきます。
- (1)ボールを見る
- (2)ボールの軌道を予測する
- (3)打点の位置を予測する
- (4)狙い通りにラケットをスイングする(打点の位置に向けてラケットをスイングする)
スイング軌道の安定に関係するのは(4)です。常に狙い通りにラケットをスイングすることができれば、常にスイートスポットで打つことができるので、そのことをもって「スイング軌道が安定した」と言えそうですよね。
ただ、スイング軌道の安定は軽視されやすい要素なのでしょう。
というのも、テニスラケットはボールをミートできる範囲(=ラケット面)が丸くて広いので、いわゆるスイートスポットを外してもボールをそれなりに飛ばすことができるからです。
もちろんみんな「スイートスポットで打ちたい」とは思っていますが、スイートスポットを外してもボールは返せてしまうので、スイング軌道の安定に向けて真剣に取り組んでいる選手はそう多くないという印象です。
一方、野球の場合はこのあたりがよりシビアです。バットが細く、ボールをミートできる範囲がとても狭いので、「狙い通りにバットをスイングする(打点の位置に向けてバットをスイングする」精度を高くしないといけません。
このあたりが、野球では素振りが重要視されているけど、ソフトテニスでは素振りがそこまで重要視されていないことの背景にありそうです。
☆☆☆
素振りをする際は
- ラケットのスイングスピードを上げる(→エネルギーを大きくする)
- スイング軌道を安定させる(→エネルギーの伝達ロスを少なくする)
の2つを意識したいです。なんとなく素振りをするだけでは、高い練習効果は見込めないと思います。
②に関して、野球の場合はバッティングティーというトレーニング用品があって便利です。
バッティングティー=野球ボールを支柱の上に置いて、フォームやミートポイントを確認するために使うトレーニング用品。実際にボールを置くのではなく、ボールに見立てたゴム板を取り付けたものもある(→ヒットしても飛んでいかない)。
バッティングティーを使えば、ボールをヒットできればOK、ボールをヒットできなければNGという判断をすることができるんです。
ソフトテニスで、これと似たようなトレーニング方法はないでしょうか?スイートスポットでヒットできたかどうかを確認するためにはボールを使わなければいけないのですが、ボールを使うと
- (1)ボールを見る
- (2)ボールの軌道を予測する
- (3)打点の位置を予測する
という要素が入ってしまって難易度が上がってしまうので。何かアイディアがあれば、教えていただけると助かります。
今日は以上です!じゃ、またねー。
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